03.脳活ラボの経済効果分析
概要
脳活ラボ(自治体提供の認知症予防アプリ)の経済効果を分析し、参加群と非参加群の介護認定率比較により削減効果を試算する。
脳活ラボの機能
- 脳トレゲーム(個人・複数人)
- 予防動画視聴
- 健康イベント参加
- ポイント制度・抽選機能
- 歩行活動用スタンプラリー
削減効果の要素分解
1. 削減対象費用の分類
flowchart LR
A[総削減額] --> B[介護費削減]
A --> C[医療費削減]
A --> D[社会的費用削減]
B --> B1[要介護認定率の低下]
B --> B2[要介護度の軽減]
B --> B3[施設入所の遅延]
C --> C1[外来受診頻度の減少]
C --> C2[入院日数の短縮]
C --> C3[薬剤費の削減]
D --> D1[家族介護負担の軽減]
D --> D2[就労継続による生産性維持]
D --> D3[QOL向上による社会参加]
2. 介護費削減の詳細分析
2.1 要介護認定率への影響
仮説: 脳活ラボ参加により要介護認定率が低下
比較指標:
- 参加群の要介護認定率 vs 非参加群の要介護認定率
- 年齢階層別の認定率差異
- 参加期間・頻度による効果の違い
2.2 要介護度軽減効果
flowchart LR
E[要介護度軽減] --> E1[要支援1・2の維持]
E --> E2[要介護1・2への進行抑制]
E --> E3[重度要介護への進行遅延]
E1 --> F1[月額給付費: 約5万円→10万円の抑制]
E2 --> F2[月額給付費: 約17万円→25万円の抑制]
E3 --> F3[月額給付費: 約30万円→36万円の抑制]
2.3 施設入所遅延効果
在宅継続による削減:
- 特別養護老人ホーム: 月額約30万円
- 介護老人保健施設: 月額約35万円
- グループホーム: 月額約15万円
3. 医療費削減の試算
3.1 認知症関連医療費
削減対象:
- 認知症専門外来受診費用
- 抗認知症薬の処方費用
- 認知症に起因する他疾患治療費
- 救急搬送・入院費用
3.2 生活習慣病予防効果
歩行活動による効果:
- 糖尿病予防・管理改善
- 高血圧予防・管理改善
- 心疾患予防効果
- 骨折リスク低下
4. 分析フレームワーク
4.1 データ突合方法
flowchart LR
A[住民基本台帳] --> D[突合キー]
B[介護認定データ] --> D
C[脳活ラボ参加データ] --> D
D --> E[分析データセット]
E --> F[参加群]
E --> G[非参加群]
F --> H[経済効果分析]
G --> H
4.2 比較分析項目
基本指標:
- 年齢、性別、基礎疾患の有無
- 社会経済状況(可能な範囲で)
アウトカム指標:
- 要介護認定率(新規・更新)
- 要介護度の変化
- 介護給付費の推移
- 医療費の推移
4.3 効果測定期間
- 短期効果: 参加開始から1年間
- 中期効果: 参加開始から3年間
- 長期効果: 参加開始から5年間
5. 統計的信頼性を担保した試算モデル
5.1 「○円削減」メッセージの要素分解
flowchart TD
A[年間削減額] --> B[単位効果量]
A --> C[対象人数]
A --> D[継続期間]
B --> B1[介護費削減/人]
B --> B2[医療費削減/人]
B --> B3[社会的費用削減/人]
B1 --> E1[要介護認定率の変化]
B1 --> E2[要介護度進行の抑制]
B1 --> E3[施設入所確率の変化]
E1 --> F1[統計的有意性検定]
E2 --> F1
E3 --> F1
F1 --> G[信頼区間付き推定値]
5.2 多変量解析による効果推定
1. ロジスティック回帰分析(要介護認定率)
logit(P(要介護認定)) = β₀ + β₁(脳活ラボ参加) + β₂(年齢) + β₃(性別) + β₄(既往歴) + β₅(健康診断結果) + β₆(社会経済状況) + ε推定対象: β₁(脳活ラボ参加の効果)
- オッズ比: exp(β₁)
- 95%信頼区間: [exp(β₁ - 1.96×SE), exp(β₁ + 1.96×SE)]
- 統計的有意性: p値 < 0.05
2. 順序ロジスティック回帰(要介護度進行)
logit(P(要介護度 ≥ k)) = αₖ + β₁(脳活ラボ参加) + Σβᵢ(共変量ᵢ)推定対象: 各要介護度への進行確率の変化
3. 生存時間解析(施設入所までの期間)
h(t) = h₀(t) × exp(β₁(脳活ラボ参加) + Σβᵢ(共変量ᵢ))推定対象: ハザード比(施設入所リスクの変化)
5.3 費用効果の段階的推定
ステップ1: 効果量の推定
flowchart LR
A[多変量解析] --> B[調整済み効果量]
B --> C[信頼区間付き推定]
C --> D[感度分析]
D --> E[ロバスト推定値]
ステップ2: 単位費用の算出
| 項目 | 推定方法 | 信頼性確保策 |
|---|---|---|
| 要介護度別月額費用 | 介護給付実績データ | 3年間の平均値、外れ値除去 |
| 医療費(認知症関連) | レセプトデータ分析 | ICD-10コード別集計、専門医確認 |
| 施設入所費用 | 施設種別平均費用 | 地域差調整、物価指数考慮 |
ステップ3: 統計的推論
-
ブートストラップ法による信頼区間
削減額の95%信頼区間 = [下限値, 上限値]1000回リサンプリングによる分布推定 -
ベイズ推定による不確実性の定量化
事前分布 × 尤度 → 事後分布信頼区間 = ベイズ信頼区間
5.4 頑健性検証(Robustness Check)
1. 複数の統計手法による検証
| 手法 | 対象 | 利点 | 限界 |
|---|---|---|---|
| OLS回帰 | 連続変数(費用) | 解釈容易 | 分布仮定 |
| 一般化線形モデル | カウントデータ | 分布適合 | モデル選択 |
| 機械学習(Random Forest) | 非線形関係 | 予測精度 | 解釈困難 |
| 因果推論(IPTW) | 因果効果 | バイアス除去 | 仮定強い |
2. サブグループ解析
flowchart TD
A[全体効果] --> B[年齢階層別]
A --> C[性別]
A --> D[基礎疾患別]
A --> E[参加頻度別]
B --> F[一貫性確認]
C --> F
D --> F
E --> F
F --> G[効果の普遍性検証]
3. 感度分析の体系的実施
-
欠損データの処理方法を変更
- 完全ケース分析 vs 多重代入法
- 欠損メカニズムの仮定変更
-
アウトカム定義の変更
- 要介護認定タイミングの定義
- 費用算出期間の変更
-
共変量セットの変更
- 最小限モデル vs 全変数モデル
- 交互作用項の追加
5.5 統計的検定の多重性調整
問題: 複数のアウトカムで検定を行うことによる第1種過誤の増大
対策:
- Bonferroni補正: α’ = α/k(k=検定数)
- FDR(False Discovery Rate)制御: Benjamini-Hochberg法
- 主要アウトカムの事前指定: 最重要指標1つに限定
5.6 最終的な削減額算出式
点推定値:
年間削減額 = Σᵢ (効果量ᵢ × 単位費用ᵢ × 対象人数ᵢ)区間推定値:
削減額の95%信頼区間 = [下限, 上限]保守的推定値 = 下限値を採用メッセージ例:
「脳活ラボの利用により、年間1,234万円(95%信頼区間: 892万円〜1,576万円)の介護・医療費削減効果が統計的に有意に認められた(p<0.001)。保守的な推定では年間892万円の削減が期待される。」
5.7 予測モデルの検証
1. 交差検証(Cross-Validation)
- 5-fold交差検証による予測精度評価
- 時系列分割による時間的妥当性確認
2. 外部妥当性の検証
- 他地域データでの検証
- 異なる期間データでの再現性確認
3. 予測精度指標
- R²(決定係数)
- RMSE(平均二乗誤差の平方根)
- MAE(平均絶対誤差)
5.9 必要サンプルサイズの計算
5.9.1 統計的検出力に基づくサンプルサイズ設計
基本パラメータ:
- 有意水準(α): 0.05
- 検出力(1-β): 0.80(80%)
- 効果量: 実質的に意味のある差
要介護認定率の比較(主要アウトカム)
想定シナリオ:- 非参加群の要介護認定率: 15%(65歳以上の一般的な率)- 脳活ラボ参加群の期待認定率: 12%(20%の相対リスク減少)- 効果量: |p1 - p2| = 0.032群比較のサンプルサイズ計算:
n = 2 × [(Zα/2 + Zβ)² × p̄(1-p̄)] / (p1-p2)²
p̄ = (p1 + p2) / 2 = 0.135n = 2 × [(1.96 + 0.84)² × 0.135 × 0.865] / (0.03)²n ≈ 3,570 per group
総サンプル数: 約7,140人5.9.2 傾向スコアマッチング考慮した実効サンプルサイズ
マッチング効率: 通常70-80%
- 脳活ラボ参加者: 5,000人
- マッチング成功: 5,000 × 0.75 = 3,750人
- 必要な非参加者母集団: 3,750 ÷ 0.75 = 5,000人以上
属性絞り込みの必要性:
flowchart TD
A[全住民] --> B[年齢層絞り込み]
B --> C[健康状態絞り込み]
C --> D[地域絞り込み]
D --> E[最終対象者]
A --> A1[約10万人]
B --> B1[65-80歳: 約2万人]
C --> C1[要介護認定なし: 約1.7万人]
D --> D1[アプリ展開地域: 約1.5万人]
E --> E1[分析対象: 8,750人]
推奨対象者属性:
- 年齢: 65-80歳(認知症リスク期、効果測定期間確保)
- 健康状態: 要介護認定なし(ベースライン統一)
- 居住期間: 3年以上継続居住(追跡可能性)
- 除外基準: 重篤な認知症、末期疾患
5.9.3 足立区での実際試算例
足立区の基礎データ(2023年):
- 総人口: 約69万人
- 65歳以上人口: 約16.8万人(高齢化率24.3%)
- 65-80歳人口: 約11.2万人
- 要介護認定者数: 約2.8万人(認定率16.7%)
- 要介護認定なし(65-80歳): 約9.5万人
脳活ラボ実施想定規模:
- アプリ参加者目標: 5,000人(65-80歳の5.3%)
- マッチング成功予想: 3,750人(成功率75%)
- 対照群候補: 約9.1万人(参加者除く65-80歳未認定者)
ステップ1: 効果量の推定
| アウトカム | 非参加群 | 参加群 | 効果量 | 95%CI |
|---|---|---|---|---|
| 要介護認定率(3年) | 15.0% | 12.0% | -3.0% | [-5.2%, -0.8%] |
| 平均要介護度進行 | +0.8度 | +0.6度 | -0.2度 | [-0.35, -0.05] |
| 施設入所率(3年) | 8.0% | 6.0% | -2.0% | [-3.8%, -0.2%] |
ステップ2: 足立区の単位費用(年額)
| 項目 | 足立区実績 | 全国平均 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 要介護1の年額給付費 | 189万円 | 204万円 | 足立区介護給付費実績 |
| 要介護2の年額給付費 | 278万円 | 300万円 | 同上 |
| 要介護3の年額給付費 | 345万円 | 365万円 | 同上 |
| 特養入所年額費用 | 330万円 | 360万円 | 都内平均より低額 |
| 65歳以上1人当たり医療費 | 89万円/年 | 92万円/年 | 後期高齢者医療 |
| 認知症関連医療費 | 52万円/年 | 48万円/年 | 都市部特性 |
ステップ3: 足立区での削減効果試算
介護費削減(年額):
【重複回避版の計算】A. 要介護認定回避: 3,750人 × 3.0% × 189万円 = 21,262.5万円 ※この112.5人は以下のB、Cの対象外
B. 要介護度軽減効果: (3,750人 - 112.5人) × 0.2度 × 89万円 = 6,496万円 ※要介護認定を受けた人の中での軽減効果 ※要介護度0.2度軽減の正しい計算: - 要介護1→要支援2: (189万円-約100万円) × 対象者数 - 要介護2→要介護1: (278万円-189万円) × 対象者数 - 平均軽減額: 約89万円/年(要介護度間の平均差額)
C. 施設入所回避: 3,750人 × 2.0% × 330万円 = 24,750万円 ※要介護認定者の中から施設入所対象者を特定
介護費削減小計: 52,508.5万円/年医療費削減(年額):
認知症関連医療費: 3,750人 × 8% × 52万円 = 15,600万円※8%削減率:仮定値(認知機能向上による受診頻度・薬剤費削減)
生活習慣病関連: 3,750人 × 12% × 28万円 = 12,600万円※12%削減率:仮定値(歩行活動による糖尿病・高血圧改善効果)(足立区は糖尿病率高く、歩行促進効果大)
医療費削減小計: 28,200万円/年社会的費用削減(年額):
家族介護負担軽減: 3,750人 × 5% × 120万円 = 22,500万円※5%対象率:仮定値(要介護認定遅延による家族負担軽減対象者の割合)(介護離職回避、精神的負担軽減)
社会的費用削減小計: 22,500万円/年足立区での総削減効果:
年間削減額 = 52,508.5万円 + 28,200万円 + 22,500万円 = 103,208.5万円
【95%信頼区間の統計的算出】※各効果量の95%信頼区間を統合した推定:- 要介護認定率効果: [-5.2%, -0.8%] → 影響幅: 約±40%- 医療費削減効果: 仮定値のため ±50%の幅を設定- 社会的費用: 仮定値のため ±60%の幅を設定
統計的推定による95%信頼区間: [58,925万円 〜 147,492万円]保守的推定値: 58,925万円/年
※従来の単純比率計算: [62,125万円 〜 144,292万円]ステップ4: 足立区の財政への影響
削減効果の財政インパクト(年額103,208.5万円ベース):
■ 介護保険への影響- 介護給付費削減: 52,508.5万円- 自治体負担分(12.5%): 6,564万円
■ 医療保険への影響- 医療費削減: 28,200万円- 国保自治体負担分(12%): 3,384万円- 後期高齢者医療負担分(約10%): 2,820万円
■ 社会的費用削減- 家族介護負担軽減等: 22,500万円- 直接的財政効果なし(社会全体の便益)
■ 自治体直接的利益合計介護保険負担分 + 医療保険負担分 = 6,564万円 + 6,204万円 = 12,768万円/年5.9.4 サンプルサイズ不足時の対策
現実的な制約への対応:
-
複合アウトカム(Composite Endpoint)の活用
複合エンドポイント = 要介護認定 OR 要介護度2段階上昇 OR 施設入所イベント率上昇により検出力向上 -
ベイズ統計の活用
事前情報の活用により実効サンプルサイズ増加他地域データや文献値を事前分布に反映 -
適応的デザイン
中間解析での効果量再推定サンプルサイズの動的調整 -
傾向スコアマッチング比率の調整
1:1マッチング → 1:2または1:3マッチング対照群サンプルサイズの効率的活用
5.9.5 推奨実施案
フェーズ1: パイロット研究(1年目)
- 対象: 1,000人 vs 1,000人
- 目的: 効果量の予備推定、システム確立
フェーズ2: 本格研究(2-4年目)
- 対象: 3,750人 vs 3,750人
- 目的: 統計的に有意な効果の検証
最小限必要条件:
- 脳活ラボ参加者: 2,500人以上
- 対照群: 5,000人以上
- 追跡期間: 最低2年間
5.10 足立区特有の考慮事項
5.10.1 足立区の地域特性
人口動態の特徴:
- 高齢化率: 24.3%(全国平均29.1%より低いが急速に上昇中)
- 要介護認定率: 16.7%(全国平均18.7%より低い)
- 独居高齢者率: 高い(都市部特性)
健康課題の特徴:
- 糖尿病罹患率: 全国平均より高い
- 脳血管疾患死亡率: 23区内で上位
- 健康格差: 経済状況による差が大きい
5.10.2 足立区での実施上の優位性
既存インフラの活用:
- あだち広報での周知(全戸配布)
- 地域包括支援センター(25箇所)での推進
- 足立区医師会との連携基盤
- 介護予防事業との連携可能性
データ整備状況:
- 住民基本台帳データの完備
- 介護認定データの電子化済み
- 国保・後期高齢者医療データの活用可能性
- 特定健診データとの突合可能
5.10.3 実施スケジュール案
第1段階(6ヶ月): 基盤整備
- データ突合システム構築
- 倫理審査・同意取得プロセス確立
- パイロット対象者選定(1,000人)
第2段階(1年): パイロット実施
- 1,000人での効果測定
- システム改善・運用最適化
- 予備的効果量推定
第3段階(3年): 本格実施
- 5,000人規模での本格運用
- 統計的有意性の確認
- 政策提言資料作成
5.10.4 期待される政策効果
短期的効果(1-2年):
- 健康意識向上による医療費適正化
- 地域コミュニティ活性化
- デジタルデバイド解消への貢献
中長期的効果(3-5年):
- 要介護認定率の改善
- 介護保険料上昇抑制
- 健康寿命延伸による地域活性化
他施策との相乗効果:
- 地域包括ケアシステムとの連携強化
- フレイル予防事業との統合
- 生活習慣病対策との連動
6. 想定される課題と対策
6.1 データの質と完全性
課題:
- 参加データの欠損
- 介護認定データとの時系列的な整合性
- 交絡要因の統制
対策:
- 傾向スコアマッチング
- 多重代入法による欠損値処理
- 感度分析の実施
6.2 選択バイアス(健康意識バイアス)の対策
課題の詳細:
- 自己選択バイアス: 脳活ラボに参加する人は健康意識が高い傾向
- 動機の違い: 参加者は元々認知症予防に積極的
- ベースライン特性の違い: 参加群と非参加群で健康状態・生活習慣が異なる
- 継続性バイアス: 健康意識の高い人ほど継続利用する傾向
flowchart TD
A[選択バイアス] --> B[健康意識の高い人が参加]
A --> C[もともと健康行動を取る人]
A --> D[継続利用する動機の違い]
B --> E[効果の過大評価]
C --> E
D --> E
E --> F[真の効果との乖離]
対策手法:
-
傾向スコアマッチング(PSM)
- 参加確率を推定し、類似した特性の非参加者と比較
- 共変量: 年齢、性別、既往歴、健康診断結果、過去の医療利用歴
- 健康意識の代理指標: 健康診断受診率、予防接種歴、過去の健康サービス利用
-
操作変数法(Instrumental Variables)
- アプリの告知方法・タイミングを操作変数として利用
- 地域の情報インフラ格差(デジタルデバイド)を活用
- 家族構成や居住地域による情報アクセスの違い
-
差の差分析(Difference-in-Differences)
- アプリ導入前後の変化を参加群・非参加群で比較
- 時間不変の個人特性(健康意識含む)をコントロール
-
回帰不連続デザイン(RDD)
- 年齢等の閾値による準ランダム割り当ての活用
- 特定年齢層への限定的な告知キャンペーンの利用
健康意識の直接的測定:
-
過去の健康行動データ:
- 特定健診受診率の推移
- がん検診受診歴
- インフルエンザ予防接種歴
- 健康相談・保健指導の利用歴
-
ライフスタイル指標:
- 運動施設の利用履歴
- 健康関連イベントへの参加歴
- 健康食品・サプリメント購入データ(可能であれば)
感度分析の実施:
- 健康意識の高低で層別化した分析
- 参加動機別のサブグループ分析
- 参加継続期間による効果の違いの検証
- 非参加者の中でも健康意識の高い群との比較
ネガティブコントロール群の設定:
- 他の健康アプリ利用者との比較
- 従来型の健康教室参加者との比較
- 待機者群(アプリ利用開始を遅らせた群)との比較
7. 期待される成果
7.1 政策提言への活用
- 認知症予防施策の効果の明確化
- 予算配分の根拠資料として活用
- 他自治体への展開根拠
7.2 学術的貢献
- デジタルヘルス介入の経済評価モデル
- 地域包括ケアシステムにおける予防効果
- 健康寿命延伸策の定量的評価
次のステップ
- データ取得・整備の詳細計画策定
- 統計解析手法の確定
- 倫理審査の申請
- パイロット分析の実施
- 本格的な効果測定・試算の実行